2023年5月9日 − Mongabay

EUは、欧州議会が4月19日に、森林破壊や違法な供給源からの産品の取引を禁止する規制を可決したことから、2023年前半にはこの規制が採択される予定である。この法案(正式には「欧州森林破壊規則」)は、牛・ココア・コーヒー・パーム油・ゴム・大豆・木材、このほか、皮革・チョコレート・印刷紙・家具などこれらの産品から生産された商品である。この法案については、インドネシアやマレーシアなどパーム油生産国が厳しすぎて不公平であると主張しているのに対し、市民社会グループは弱すぎると主張しており、依然として意見が対立している。

欧州議会による承認を受けて、マレーシアのファディラ・ユソフ副首相は、この規制は森林破壊や気候変動と闘うためというよりも、欧州の油糧種子市場を保護するためのものだと述べた。同副首相はまた、「この法律は最終的に貧困を増やし、家計収入を減少させ、農民に害を与えるだろう。」と述べている。

一方、インドネシアの44の市民社会組織は最近の共同声明で、EUの規制はサプライチェーンから森林破壊を排除することにのみ重点を置いており、生産国の森林破壊の根本原因に取り組んでいないと述べている。インドネシアの環境NGO、カオエム・テラパックは、「小農は、規制の基準を満たすことが難しいため、サプライチェーンから排除されるだろう。」と言っている。インドネシアに拠点を置く国際林業研究センター(CIFOR)の科学者、ヘリー・プルノモ氏は、インドネシアとEUのあいだの合法木材に関する二国間協定(VPA)に目を向けるべきだと言う。ヘリー氏は、「VPAはインドネシアとEUがいかに共通の目標に向かって協調できるかの一例である。持続可能なパーム油のための協力関係はあったが、VPAのようには強力ではない。EU森林破壊規制をめぐって議論は分裂しており、EUと産出国は協調せず互いに攻撃し合っている。」と述べている。

市民社会グループはまた、今回の法案が農業開発のための森林伐採のみを対象とし、インフラ開発・鉱業・その他による森林破壊は対象外であること、原生林や天然林のプランテーション林への転換も対象外であることを始めとして、いくつかの点について批判している。

原文はこちら(英語)
https://news.mongabay.com/2023/05/eu-deforestation-tracking-regulation-sparks-division-among-groups-producers/