調達ガイド

調達ガイド

調達ガイドは、パーム油調達の環境社会リスクの軽減・回避に役立ちます

パーム油調達の様々なリスクは、適切に対処することで軽減・回避することが可能です。ここではそれぞれの企業が自らのサプライチェーンを辿り、生産地や供給元企業に関する情報を収集し、リスクの所在を確認した上でパーム油の調達リスクを評価するための手順や、サプライチェーン上の課題を解決するための調達方針や実施計画の策定の方法をご紹介します。
改善計画の実施にあたっては、供給元にトレーサビリティの確保や、調達方針に合ったパーム油の供給を依頼する必要があり、改善に取り組むことのできるサプライヤーとともに取り組むことが不可欠です。

なお、この調達ガイドは現時点では基本的な手順や方向性をお伝えすることに注力していますが、より有用なツールとなるよう改善を進めていきたいと考えております。

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【ステップ0】問題の認識

パーム油調達のリスクと企業の責務を認識しましょう。

考慮すべきリスクには、以下が考えられます。

・環境的リスクとしては、森林減少、生物多様性の喪失、水への影響、公害発生
・社会的リスクとしては、強制立ち退き、土地紛争、強制労働や児童労働など労働現場での人権侵害、健康被害、賄賂、違法操業、経済・金融犯罪

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【ステップ1】 社内での取り組みの意思確認

問題に対処するためには、ステップ0での問題認識を広げ取り組みを進められるように、社内の他の部署や役員レベルを含め組織として対応できる体制づくりが必要です。

【ACTION】
→取り組みを進めるための合意を得る社内プロセスを始動させます。そして、部署としての取り組みについて承認を得て、情報収集を進めます。

【ステップ2】自社製品での利用状況の把握

自社の製品で、パーム油やパーム核油、パーム油由来原料が、各製品における使用量や、全体の購入量、そして一次サプライヤーの把握をします。
パーム油が含まれる可能性のある原材料名としては、以下のようなものがあります。

【食品】
パーム油、パーム核油、植物油脂、植物油、食用植物油脂、植物性食用油、植物性油脂、マーガリン、ショートニング、パームオレイン、ココアバター代替脂(CBE、CBS、CBR)など

【非食品】
パーム核脂肪酸Na、水添パーム油脂肪酸グリセリズ、脂肪酸ナトリウム、乳化剤、パルミテート、セタノール、イソプロピル、イソプロピルパルミテート、ステアリン酸、ステアリン酸グリセリル、ステアレス(2、20、21)、オレイン酸グリセリル、オレイン酸デシル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソオクチル、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステル塩など
参考資料:
Palm Oil’s Dirty Secret: The Many Ingredient Names For Palm Oil(PDF:208KB)
Common Names for Palm Oil and Palm Oil Derivatives, Philadelphiazoo

【ACTION】
→関連商品については、資料を参照し、社内の各部署から情報収集を行います。これを表にまとめて総合数量と一次サプライヤーを把握します。

【ステップ3】トレーサビリティの確認

パーム油やパーム核油、パーム油関連製品のサプライチェーンを辿り、供給元や生産地の把握に取り組みましょう。把握状況をサプライヤー毎にまとめ、トレーサビリティの程度を確認していきます。

【ACTION】
→サプライチェーンの状況と供給元の生産企業、産地、農園等をリストアップします。この時、供給元の生産企業が農園までのトレーサビリティを確認できるか、当該企業以外の農園の全てのトレーサビリティを確認できるかについても把握します。

→確認できなかったサプライチェーンの最も川上の企業をリストアップしておきます(後で評価対象とする)。その上で、産地を確認できなかったサプライチェーンについて、さらなる調査を行って生産企業、産地等についてのトレーサビリティの確認と情報収集を行います。

【ステップ4】リスク評価の手順と情報収集

ステップ3で確認できたサプライチェーンのトレーサビリティ確認に基づいて、以下の手順に従って評価を行います。

・供給元の主要な生産企業がわかる場合

・加えて、原料供給地域もわかる場合

・不明な場合

 

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【ステップ5】調達方針の策定を検討

ステップ0で取り上げた問題に対処するためには、まず、RSPO認証の要求項目(PDF:670KB)を満たすことは必要ですが、その要求項目では十分とは言えず、それ以上を目指した取り組みが求められます。その標準的な到達目標としては、例えば、「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」を掲げている企業の調達方針に述べられている内容やパーム油革新グループ(POIG)の憲章や要求事項などです。例えば、包括的な森林減少ゼロ、泥炭地ゼロ、搾取ゼロの方針を示したウィルマー社の目標設定(PDF:225KB)や日本で最初に森林減少ゼロを掲げた花王の調達方針、ウィルマー社と同様の方針を掲げている不二製油の調達方針(PDF:1.6MB)は参考にできる取り組みです。

【ACTION】
→以下のような調達方針を検討してみましょう。
・供給元が不明なパーム油は使わない。
・森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、人権尊重などを含むPOIG要求事項(PDF:394KB)を満たすような企業から、供給元の確認されたパーム油を利用する。
・森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、人権尊重などを含むPOIG要求事項を満たすことを条件に、暫定的にリスクの低いRSPO認証農園のパーム油を利用する。

【ステップ6】期限付き実施計画作成

ステップ5で設定した方針を達成する目標となる期限を設定し、サプライチェーン全体で、着実に実施していくための計画案を作成します。
そのために、ステップ4での情報収集に基づいて、サプライチェーン毎にデュー・ディリジェンスを実施して、自社のサプライチェーンについての情報に基づいて自社が直面しているリスクを特定します。特定されたリスクに対応するための戦略を立案して、リスク軽減措置のための対処を行います。

 

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【ステップ7】方針実現に向けた計画の実施

課題解決のために、サプライチェーンに森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、人権尊重などを含むPOIG要求事項を満たすよう要請や支援を行って、調達方針を実現するための計画を実施していきます。

【ACTION】
→供給元が不明なままのサプライヤーには供給元の把握の協力を依頼します。
→策定した調達方針に合致する適切な産地や供給元からパーム油を購入します。(対象:ランクA, S)
→調達方針に合致しないと判断した生産企業を利用するサプライヤーにはPOIG要求事項などへの合致や問題解決のための是正措置を要請します。(対象:ランクB)
→一定の猶予期間を取っても、合致が期待できない場合には利用を停止し、供給先を変更します。(対象:ランクB, C)
→一定の猶予期間を取っても、把握できない場合には利用を停止し、供給先を変更します。(対象:ランクB, C)
→必要に応じて、サプライチェーン認証(SCCS)を取得して、調達方針に合致している、合致が期待できる認証油の利用を行います。(対象:ランクA, S)
→適切なパーム油に切り替えられない場合の対策を検討します。

【ステップ8】実績の把握と計画の見直し

実施計画の実施状況を把握して自己評価と報告を行うとともに、取引先やNGOを含む関係者からの評価を得るとともに、独立した第三者による監査を検討します。これを受けて実施状況について検討し、ステップ6に戻って計画内容の見直しを行います。

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