アブラヤシから生産されるパーム油は、現在世界でもっとも多く消費されている植物油脂です。植物油脂の総生産量2億3655万トンのうち、パーム油の生産量は7,420万トン(2020年)と約31%を占めています。パーム油は、他の植物油脂に比べてヘクタール当たりの収量が多く生産効率が良いため価格面で優位であり、また幅広い用途に使うことができるため、近年急速に需要が拡大しています。特にインドネシアとマレーシアで農園の拡大が著しく、これら2か国がパーム油の総生産量の約83%を占めています。他にもタイ、コロンビア、ナイジェリアといった国でも広がりつつあります。
日本ではパーム油、パーム核油(アブラヤシの果肉から得られるのがパーム油、種子から得られるのがパーム核油)を合わせて年間約80万トン(2020年)が消費されており、約8割がインスタント麺やスナック菓子をはじめとした食品向けに、残りの約2割が石鹸や洗剤などの非食品向けに使われています。食品については多くの加工食品にパーム油が使われているといわれていますが、日本の食品表示法では植物油脂の内訳を記載することが義務付けられていないことなどから消費者の目に見えない形で流通しているため、わたしたちの身の回りに溢れていることはあまり認識されていないのが実情です。
インドネシアとマレーシアで生産されています
インドネシア:4270(57%)、マレーシア:1914.1(26%)、タイ:269(4%)、コロンビア:156(2%)、ナイジェリア:128(2%)、その他:682.4(9%)、合計:7419.5(万トン)
出典:Oil World Annual 2021
アブラヤシはもともと熱帯地域を原産とする植物で、西アフリカでは昔から自家消費用として栽培されてきましたが、20世紀半ばから東南アジアでプランテーション方式による集約的な栽培が始まってから、その面積は徐々に拡大してきました。東南アジアでも特にインドネシアとマレーシアでの拡大が著しく、現在パーム油の総生産量の約8割を占めています。他にもタイ、コロンビア、ナイジェリアといった国でも広がりつつあります。