FITについて

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FITとは再生可能エネルギーを推進するための制度

森林減少

(出典)資源エネルギー庁のウェブサイトより

現在、わたしたちが使っている電気の83%は液化天然ガス(LNG)、石炭、石油などの化石燃料を燃やすことにより生み出されています(2016年)。化石燃料が気候変動に大きな影響を与えていることはいまや世界の共通認識となっていますが、このようなエネルギーへの依存から脱却し、より環境負荷の少ない太陽光や風力、バイオマスといった「再生可能エネルギー」を促進するために、FIT(Feed-in Tariff)と呼ばれる固定価格買取制度が2012年7月に始まりました。

これらの発電事業には初期投資の段階で多くの資金が必要ですが、将来的に安定した経営ができるように、電力会社が賦課金を使って発電事業者から一定期間にわたり高い価格で電気を買い取ることを政府が保証します。高い価格で買い取るための賦課金は、わたしたちが毎月支払っている電気料金に「再生可能エネルギー発電促進賦課金」として上乗せされています。つまり、FITとは電気を利用している消費者が負担し合うことで、環境に優しい「再生可能エネルギー」を推し進めていこうという制度なのです。

FIT制度は、石油や石炭など温室効果ガス(GHG)を大量に排出する化石燃料や、取り返しのつかない大きなリスクを抱える原子力だけに頼らないエネルギー供給を実現するという意味では画期的な制度です。ここで推進されている「再生可能エネルギー」には太陽光や風力など自然現象から得られるエネルギー以外に、林地残材や農業残渣など生物由来の資源を有効利用したバイオマス発電が含まれます。日本の林業の現場では、間伐などで切り倒されたまま放置された「未利用木材」が大量に発生しています。これは、伐採した木材を搬出するためのコストが木材の販売価格を上回ってしまい、採算が取れないことが背景にあります。そこでFITを通じて、これらの「未利用木材」を高い価格で買い取り山林へ利益を還元することで、日本の林業を活性化させようという副次効果も期待されていました。

しかし蓋を開けてみれば、認定を受けた発電事業者のほとんどが、木質ペレット、パーム核殻(PKS)、パーム油といった輸入バイオマスを燃料とする一般木質バイオマスに依存しています。これらの輸入バイオマスは、生産現場において森林破壊や人権侵害などさまざまな問題が指摘されており、「環境負荷を削減する」というFIT本来の目的にそぐわないことが懸念されています。

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