調達ガイド解説

ステップ4

リスク評価の手順と情報収集

ステップ3で確認できたサプライチェーンのトレーサビリティ確認に基づいて、以下の手順に従って評価を行います。

・供給元の主要な生産企業がわかる場合→《1》

・加えて、原料供給地域もわかる場合→《2》

・不明な場合→《3》

 

《1》 供給元の生産企業の情報収集を行います。

 

確認できている生産企業についての情報収集を行います。情報収集は、サプライヤーを通じた情報を受けて、供給先農園に関する情報や管理体制についての情報を得ると共に、以下のような外部情報を通じて情報収集が必要です。

(1) 供給元の生産企業がSPOTTの評価対象企業リストにある場合には、SPOTTを利用して評価を行います。

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お役立ち情報>評価ツールとリスク情報>SPOTT

(2) 供給元の生産企業がSPOTTにない場合には、考えられるあらゆる方法を利用して、情報収集を行います。SPOTTが収集している情報をサプライヤーに問い合わせてみることもできるでしょう。

(3) 供給元の生産企業がRSPOメンバー企業かどうかを確認します。

(3)-1 RSPOメンバーであれば、RSPOの年次進捗報告書(ACOP)で実施状況や各社のウェブサイトで調達方針のカバー状況や内容、そして認証農園のカバー状況を確認します。RSPO加盟企業であっても認証パーム油農園のみから利用しているわけではないので、現状確認が必要です。その上で、認証パーム油の管理方法について、認証パーム油のSG(セグリゲーション:Segregation)やIP(アイデンティティ・プリザーブド:Identity Preserved)の供給可能性を確認します。MB(マス・バランス:Mass Balance)の場合は、非認証油の供給元に関する情報の入手可能性を確認します。

SG:認証農園のみを利用する分別管理方式

IP:特定の認証農園の油のみを利用する分別管理方式

MB:非認証農園の油も混入しており、認証油の総量をクレジット管理方式

(3)-2 RSPOの苦情処理サイトで苦情申し立てがないかを確認します。

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お役立ち情報>評価ツールとリスク情報>RSPO苦情申し立て事例リスト

(4) RSPOメンバーでない場合には、生産状況に関する情報収集の可能性を確認して、POIG認証で確認すべきとされる環境・社会関係についての要求事項の関連情報の収集をサプライヤーのみならず、調査会社やNGOを含めた外部情報を含めて収集し、その情報に基づいて評価を行います。

SPOTTは、環境面での評価基準が中心となっているので、現時点では、社会的な面からの評価としては不十分と考えておく必要があります。つまり、SPOTTで緑の高い評価を得ていたとしても、追加的に土地紛争や労働問題での確認を行う必要があります。

(5) 土地紛争関与する生産者企業リストを利用して評価を行います。

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お役立ち情報>評価ツールとリスク情報>インドネシア土地紛争リスト
お役立ち情報>評価ツールとリスク情報>サラワク土地紛争リスト

(6) NGO等による事例報告において様々なリスクの有無を確認します。

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お役立ち情報>評価ツールとリスク情報>主要なNGOによるレポート情報サイト

まずは、以上のような企業レベルでの情報収集と評価情報を収集して、サプライヤー毎に表計算ソフト等を利用して、簡単なデータベースを作成してみましょう。

《2》生産企業のみならず、原料供給地域がわかる場合には、以下のような情報収集も可能です。

 

(0) 原料供給地域が不明の場合には、その旨を示しておく
(1) 農園レベルでのRSPO認証の取得の有無の状況
(2) 農園開発に関する履歴の確認(何年に開発されたのか、森林の土地転換かどうか)
(3) 土地紛争状況について現地のNGOなどからの情報収集を行う
(4) 労働問題に関して、強制労働や児童労働問題を防ぐためのリクルート体制の確認や労働組合への対応
(5) Global Forest Watchで作成したThe PALM Risk Toolを利用して森林減少リスクを地域毎に評価情報を確認が掲載されています。

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http://blog.globalforestwatch.org/update/how-to-use-the-new-palm-risk-tool-in-3-easy-steps.html

さらに、原料供給地域に関する情報、そしてそのリスク評価情報についても一覧できるように、データベスとして整備します。

《3》 サプライヤーからの協力を得て、供給元についての情報収集を試みて、《1》への移行を検討します。《1》に移行できなかった場合は、《3》のサプライヤー不明としてリストに残します。