2024.5.21 – Mongabay
インドネシア領パプアのカイス村に住むカイ族の生活は、数社の企業がアブラヤシ農園のために森林伐採を開始、2021年時点で約1万ヘクタールを伐採したことにより、劇的な変化が起こった。ブライアンタマ氏(現:世界資源研究所インドネシア支部GISアナリスト)によると、2022年の時点で「村人たちは洪水や水質悪化などの影響を感じ始めていた」という。
アブラヤシ農園の拡大と洪水・水質悪化の関連性を裏付けるため、ブライアンタマ氏らは、土壌と水評価ツール(SWAT+)を使用して、カイス川流域の水収支と水質の歴史的変化を評価した。その結果、アブラヤシ農園造成前と比べて流域の表流水は21%増加し、流出土砂は16.9%増加したことが分かった。表面流出の増加により、洪水の可能性がほぼ5倍に増加したと研究者らは結論付けた。これは、特に若いアブラヤシが、森林の樹木ほど保水力がないためだとブライアンタマ氏は述べた。
研究者らは、流出量と堆積量の増加が下流の水質にも悪影響を及ぼしていることについても明らかにした。農園造成後、流域の窒素とリンのレベルはそれぞれ78%、144% 増加したが、これは農園から土壌と農薬が流出した結果である可能性が高い。