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パーム油企業のセメラン・アバディ社(以下、CA社)が、トラやオランウータン、サイ、ゾウが共存する地球上で唯一の場所であるルーサーエコシステム(インドネシア・スマトラ)内の自社コンセッションで森林の皆伐を再開した。国際NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)による衛星画像分析から、2021年9月から2022年2月にかけてCA社が309ヘクタールの二次林(若齢林含む)を皆伐したことが分かった。
ネスレやユニリーバなどパーム油を購入する主要なブランドはいずれも生産者レベルまでサプライチェーンを追跡していないことから、CA社をブラックリストに載せていない。そのため、この皆伐された地域から得られたパーム油が世界のサプライチェーンに入る可能性があるとRANは言っている。
CA社が批判の対象となるのはこれが初めてではない。NGO7団体は、CA社に与えられた開発許可が2017年に失効しているにもかかわらず、その翌年にスマトラ・アチェ州で269ヘクタールの土地を皆伐したとして警察に通報した。CA社は環境影響評価報告等も行っていなかった。CA社はこれに対し、開発許可の更新を待っているあいだも従来通りの開発は許可されたため、問題はないと反論していた。しかし、2019年3月に国土庁により更新された開発許可の面積は、プラズマ制度のもとでコンセッションの20%をコミュニティに分配するといったいくつかの義務をCA社が怠っていたことにより、減少となった。
そこでCA社は、もとの面積のコンセッション回復を求めて、国土庁を相手取って訴訟を起こしたが、2020年9月に敗訴となった。これを受けて、CA社のコンセッションがある地域の地方政府は、無効となったコンセッションを地域コミュニティに分配するとし、5月に国土大臣とこの件について会談した。その席上、国土大臣は、CA社が国土庁に対してまだ裁判を提起しているため、地域コミュニティに土地を分配することはできないと発言している。
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