日本食糧新聞

ロシアによるウクライナ侵攻が大きな引き金となったパーム油の需給逼迫が、東南
アジア市場に深刻な影響を与えている。
世界最大の生産国で輸出国のインドネシアが一時、輸出の大幅な禁止を行ったこと
から国際市場が混乱。生産量2位のマレーシアでは好機に乗じて増産につなげよう
と試みたものの、新型コロナを原因とした人手不足が露呈し、有効な対策を打ち出
せていない。
軍支配の続くミャンマーの市場では、国民生活に欠かせないパーム油が軍政の定め
た標準価格の4割増しで販売されるなど家計を圧迫している。タイでも想定を超え
る市場価格の上昇を引き起こすなど混乱はしばらく続きそうだ。
インドネシアのジョコ大統領がパーム油の輸出禁止を表明したのは、ウクライナ侵
攻から約2ヵ月が経過した4月22日。小麦や油など食料価格の高騰に苦しむ国内事情
に配慮したものだった。だが、インドネシア政府の政策も二転三転する。当初は一
部のみを禁輸の対象としたかと思えば、わずか1週間後にはパーム原油や精製油な
ど幅広く禁止する方針に転換。さらには、生産農家の損失が少なくとも2500億ルピ
ア(約23億円)に上ることなどが判明すると、5月23日からは輸出の再開を一転表
明。生産業者に対し国内供給義務を課したほか、国営企業を通じた国民向け食用油
の安価供給を行うなどした。しかしながら、国内価格は再上昇含みで、懸案は解消
していない。
原文はこちら(日本語)
https://news.nissyoku.co.jp/news/kwsk20220608025712386