Business Journal – 2018-06-04

 WHO(世界保健機関)は5月14日、人工的トランス脂肪酸を世界の食料供給から撲滅するための独自ガイド「REPLACE」を発表した。このなかでWHOは、トランス脂肪酸の供給源などをレビューし、それを健康的な油脂への切り替え、使用禁止を法制化すると明記。2019年から23年までの5年間で、トランス脂肪酸を撲滅するよう世界に呼びかけている。

 トランス脂肪酸は、菜種油やトウモロコシ油などの植物油に水素添加(常温で固化することを目的)をすることによって、発生する。食品メーカーは、このトランス脂肪酸の使用を避けるために、現在、急速に原料油をパーム油に切り替えてきている。トランス脂肪酸ゼロを謳うマーガリンなどには、このパーム油を原料としている。

 農林水産省のホームページには「トランス脂肪酸が多く含まれる硬化油脂を、別の硬い性質を持つ油脂(例えばパーム油など)に代替すれば、トランス脂肪酸は低減できますが、すでに平均的に見て取りすぎの傾向にある飽和脂肪酸の含有量を大幅に増加させてしまう可能性があります。米国農務省(USDA)は、食品事業者にとってパーム油はトランス脂肪酸の健康的な代替油脂にはならないとする研究報告を公表しています」と記述され健康的な油でないことを認めている。

 パーム油は長期間の船上輸送による酸化を防ぐために、酸化防止剤としてBHA(ブチルヒドロキシアニソール)という食品添加物が用いられている。このBHAは、1998年に食品衛生調査会で、次のようにラットに対する発がん性を確認している。

 パーム油の使用量は、日本の植物油の総供給量264万8000トンのうち、その約4分の1を占める64万7000トンに及んでいる。その使途の35%がマーガリン、ショートニング、その他食品加工用が31%となっている。マーガリン、ショートニング以外に、即席麺やパン、フライドポテト、チョコレート、アイスクリーム、スナック菓子などあらゆる加工食品に使われている。ところが、食品表示上は植物油としか表示されておらず、そこにパーム油が使われているかどうか、わからないのである。

 食品安全上さまざまな問題が指摘されているパーム油は、食品に使用しないようにすべきであり、少なくとも早急に食品表示上パーム油使用と明記されるようにすべきである。

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