2017年10月31日-  マレーシアの主要パーム油企業が画期的な労働方針を発表
         IOIグループが、強制労働、児童労働、労働者搾取横行の産業界に新基準

サンフランシスコ – 本日、マレーシアのパーム油大手IOIグループは3つの主要な労働方針を発表した。これは、労働者に募集時に課していた手数料の徴収を止め、組合設立の自由を尊重し、生活賃金の支払いに努めるというものである。これらの方針は、労働者の権利侵害と労働者搾取が繰り返し発覚している産業界において新たな基準をまとめたものとなっている。

 「マレーシアのパーム油産業の外国人移民労働者は、募集段階での詐欺や高額手数料のためにしばしば借金に苦しめられる状況に陥っている。 IOIグループの『手数料ゼロ』方針は、いきなり労働者を強制労働や債務奴隷労働の罠にかける債務を防止するのに重要な前例を作った。」とマレーシアの人権団体、テナガニタ事務局長のグローレン・ダス(Glorene Das)は語っている。

「IOIグループの新労働方針は新たな基準を設定しており、サイム・ダービー(Sime Darby)、フェルダ・グローバル・ベンチャーズ(Felda Global Ventures)、クアラ・ルンプル・クポン(Kuala Lumpur Kepong Berhad:KLK)など、他のマレーシアのパーム油企業はすべて従わなければならない。」とダスは続けた。「迅速な是正措置のために、実施における課題が経営陣の注意を引くことができるように、我々が労働者に自由にアクセスできることを期待している」。

 強制労働のため、マレーシアのパーム油産業の悪名はますます高まっている。マレーシアのパーム油農園の労働力の大部分を占める外国人移民労働者は、到着時にパスポートを押収され、移動の自由と農園を出る手段が制限される。多くの場合、労働者は農園での雇用機会確保のために第三者の労働仲介人により多額の募集手数料を徴収され、残った借金を減らしていかなければならないので、債務奴隷労働の状況のままとなる。この負債と、移動の自由に関する制限は、現代の奴隷制の構成条件に合致している。

 IOIグループの新方針は、いくつかの重大な問題についてマレーシアのパーム油産業における労働基準のレベルを上げている。新しい賃金方針では、IOIは、生産性にリンクした奨励金を上乗せした法定月間最低賃金を労働者に支払うことと、現行の賃金と生活賃金の乖離をなくす目的で信頼できる方法論を使って生活賃金を計算することを約束している。雇用方針においては、IOIは外国人移民労働者に募集関連費用を請求しないことと、既に請求された費用は労働者に払い戻されることを約束した。この方針は、到着後の体系的なヒアリングで実施される予定である。そしてIOIは、結社の自由方針において、労働組合がIOIの私有地に自由にアクセスできるようにすることを約束している。

「IOIグループのコミットメントは重要な第一歩だが、その実施が本当のテストになる。サプライチェーンの強制労働を止めることを約束した消費者ブランドの企業とバイヤーは、IOIの進捗状況を監視し、これらの方針の完全な実行を求める必要がある。」とフィン・ウォッチ(Finnwatch:フィンランドのNGO)の事務局長、ソニア・バーティアラ(Sonja Vartiala)は述べている。「これはまた、例えば手数料を支払った労働者には完全に払い戻しをしなければならないことを意味する」。

 IOIグループは厄介な過去を抱えており、森林破壊と泥炭地の排水と焼却の苦情が報告されていることで持続可能なパーム油に関する円卓会議(RSPO)の認証を外された数少ない企業の一つである。同社は、労働慣行やロング・テラン・カナン・ロングハウス(Long Teran Kanan Longhouse)コミュニティとの長期にわたる土地紛争のために、キャンペーンの対象となっており、今もそれは進行中である。NGOの連合体は、IOIがその負の影響に対処するために取るべき是正措置についての提言を作成している。

 「これは重要な前進だが、IOIはまた、問題のある過去を是正する必要がある。 IOIグループは、これらの新しい労働方針を完全に実行する以外にも、パーム油の責任ある供給者と見なしてもらう前に、長らく続く苦情、特にロング・テラン・カナンのコミュニティとの間の紛争を解決する必要がある。」とレインフォレスト・アクション・ネットワークのシニア・キャンペーナ、ロビン・アベルベックは述べている。

 世界のパーム油消費市場の購買者や政府は、法律や自主的な仕組みを通じて、サプライチェーンにおける現代の奴隷制を根絶することを約束している。米国と英国は、企業にサプライチェーンにおける強制労働にどのように取り組んでいるのかを開示するよう要求する法案を可決し、フランスは大企業には人権デュー・ディリジェンスを規制として導入し、2016年にはコンシューマー・グッズ・フォーラム – 400社の世界的な主要なブランド団体 – は、自社のパーム油サプライチェーンにおける強制労働を根絶することを約束した。
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連絡先:
Emma Rae Lierley, Emma@ran.org, +1.425.281.1989
Sonja Vartiala, sonja.vartiala@finnwatch.org, +358.44.568.7465
Glorene Das, glorene.a@tenaganita.net, +60.10.360.3269

さらなる情報は以下をご覧ください。
Finnwatch’s reports on IOI Group’s labor conditions (2014-2016):
Working conditions at the IOI Group’s oil palm estates in Malaysia: a follow-up study (2016):

The New Law of the Jungle? Responses by certification schemes and the IOI Group to – Finnwatch’s Law of the Jungle report (2015):

The law of the jungle – Corporate responsibility of Finnish palm oil purchases (2014):

Rainforest Action Network’s report on Kuala Lumpur Kepong Berhad (KLK), titled Conflict Palm Oil in Practice (2014):