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高炭素貯蔵(HCS)林と森林破壊ゼロ
HCSについての2つの考え方、HCSアプローチとHCS+について紹介します。
【HCSアプローチ】
国際環境NGOグリーンピースによるネスレ社への働きかけを受け、サプライヤー企業GARによる森林破壊を止めるために取り組まれてきたのがHCSアプローチです。
HCSアプローチでは、以下のように開墾地(open land)や低木地(scrub)というレベルでは、HCSとは考えません。
HCSアプローチでは、保護価値の高い(HCV:High Conservation Value)森林の保護や、地域住民からのFPIC(Free Prior Informed Consent)、泥炭地の保護、水辺ゾーン、地域住民や先住民族にとって文化的・経済的に重要な地域の特定と保全を含みます。このHCSアプローチは、POIGの基準として組み込まれており、HCS Approach Toolkitという資料で詳しく解説されています。
【HCS+】
2014年7月に「持続可能なパーム油マニフェスト(Sustainable Palm Oil Manifesto:SPOM)」と呼ばれる文書への署名が行われ、署名企業(アジアン・アグリ社、IOI社、KLK社、ムシム・マス社、サイム・ダービー社など)とウィルマー社の支援で、委託研究HCS Studyが行われました。その結果として提案されたのがHCS+メソドロジーという手法です。
HCS+では、アブラヤシ農園の平均的な炭素貯蔵量を、植栽期間全体で評価しており、これ以下の炭素貯蔵量しかない場合には、開発可能としています。
このように森林破壊ゼロを定義するHCSの概念をめぐっては、POIGが進めるHCSアプローチと、HCS+で中身が異なります。パーム油問題に取り組むNGOではHCSアプローチを推奨しており、HCS+については問題点を指摘しています。