お役立ち情報詳細

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認証制度について

RSPO

RSPO認証制度は、一定の基準を満たしていることが第三者機関により確認された農園からのパーム油をRSPO認証油として市場での差別化を図っています。しかし、RSPOの現行の基準では二次林の減少や泥炭地の開発に対処する規定が弱く、労働者の人権侵害などの社会的な問題への対処も不十分だと指摘されています。

これらの課題に対処するためにパーム油革新グループ(Palm Oil Innovation Group:POIG)が2013年に発足し、POIG憲章(POIG Charter)を採択しました。POIGでは、「環境への配慮」「地域社会とのパートナーシップ」「企業および製品の誠実性」の三つの柱に焦点を当てて、環境・社会への責任あるパーム油生産に向けたコミットメントを強化することが求められます。POIGでは、RSPOの原則と基準を土台としながら、POIG憲章で追加的な基準を設けることで、RSPOの課題を満たし、革新的な取り組みとすることを目指しています。RSPO認証の基準に加え、POIG要求事項を定めています。

 

一方、RSPOはPOIGの動きを受けて森林減少への対処に向けてRSPO Nextという自主基準を2015年11月に設定しています。RSPO Nextでも森林破壊ゼロ達成のために、開発対象からHCS林を外していますが、これは上述の「HCSアプローチ」の概念とは異なるものとなっています。詳しくは「お役立ち情報詳細」の「高炭素貯蔵(HCS)林と森林破壊ゼロ」の「HCSアプローチ」をご覧ください。関連記事はこちらをご覧ください。

認証の3つの管理方式とトレーサビリティ

RSPOメンバーの企業であっても、農園の認証取得率は100パーセントではないことが多く、非認証農園を保有していたり、他のサプライヤーからの非認証油の供給を受けていたりします。また認証のうち「マス・バランス(MB)」では非認証油の混入を認めています。認証油のみを供給元とするのは、「セグリゲーション(SG)」や「アイデンティティ・プリザーブド」という方式です。SGでは供給元が全てRSPOの認証であることは確認していますが、供給元の農園は複数であり、それがどこなのかは確認できません。供給元を特定できるのは、単独の認証農園からのみ供給を受ける「アイデンティティ・プリザーブド(IP)」のみです。詳しくはこちらをご覧ください。

 

RSPOとPOIG

RSPOの基準では、原生林やHCVFの保護についての規定はあるものの、それ以外の森林については土地転換を行うことも、農園開発も可能となっています。また土地紛争や労働問題への対処についても課題があり、徐々に改善されてはいるものの、現状ではRSPO認証油というだけでは、残念ながら責任ある調達を実践できるとは言えない状況です。こうした状況を受けて、課題への対処を求めるNGOとRSPO加盟企業が参加して「パーム油革新グループ(Palm Oil Innovation Group:POIG)」憲章(POIG憲章)(PDF:522KB)に合意し、2013年11月に発足しました。
POIG憲章では「目標と目的」で

「POIG は:
+ アブラヤシ栽培および搾油工場の管理における、また、供給チェーン全体における環境、社会、 供給チェーン、ガバナンスの広範な問題に関係する革新と改善を促進し、そのような革新がパーム油産業全体に拡大し、RSPO基準に反映されることを目指す。
+ 革新的・進歩的生産者および供給チェーンのパートナーに対する付加価値を生み出すため、市場での認識を高め、革新的で改善された方法によって生産されたパーム油製品に対する需要を増やす。
+ アブラヤシ栽培の方法、搾油工場管理の方法、責任ある調達、製品のトレーサビリティー、供給 チェーン全体にわたる検証における革新と改善の経験についての議論と共有のための開かれたフォーラムとして活動する。
+ 集団として政府と協議して、革新的な方法への認識とサポートを獲得し、それらが法律・規則に組み込まれるよう促す。」
と述べています。
「憲章に署名する者は、そのすべてのパーム油製品1のRSPO P&Cとの適合を証明し、第三者の検証を通じて下記の要件2の順守を立証することを確約する。」

そして、環境への責任としてHCSアプローチによる森林保全、泥炭地保全、気候変動への対処等を掲げています。さらに地域社会とのパートナーシップで、アブラヤシ開発におけるFPIC取得による地域社会と先住民族の権利尊重、労働者の権利尊重、スモールホールダーへの支援などを示しています。また、「企業および製品の誠実性」として、汚職防止措置、トレーサビリティの確保などを示しており、そしてPOIGにはRSPOの先進企業が参加できることとなっており、POIG の基準は、RSPOを土台としつつこれを超えた自主基準として取り組まれています。

これらの基準を第三者による監査を行うために、これらのPOIG要求事項のための指標(PDF:542KB)が規定されています。詳しくは、こちらをご確認ください。